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抗がん剤感受性検査の利用例

症例1(猫、12歳、メス)

病歴:
左第1乳腺部に乳腺腺癌の既往歴あり。今回、左腋窩部と右第4乳腺に腫瘤を認め、腋窩部腫瘤および右側乳腺を全摘出。病理組織検査と抗がん剤感受性検査を実施。

病理組織診断:
左腋窩腫瘤;乳腺腺癌の腋窩リンパ節転移病巣 右乳腺部腫瘤;乳腺過形成、乳管拡張

症例1組織写真

左:左腋窩腫瘤の弱拡大像(×40) 右:左腋窩腫瘤の強拡大像(×400)

感受性検査結果:
カルボプラチンの感受性がかなり高く(IC50, 抑制率ともに良好)、ドキソルビシンンは高濃度でのみ反応。

症例1抗がん剤感受性結果
症例1オルガノイド写真

培養後の細胞観察像: 小型オルガノイド細胞の増殖

治療:
カルボプラチンを3週ごとに投与

予後:
投薬時に胸骨下リンパ節転移・肺転移が認められていたが、治療開始後2か月時点で進行はみられていない。

症例2(犬、10歳、去勢オス)

病歴:
血尿あり、エコー検査で前立腺の嚢胞性病変。BRAF遺伝子変異あり。細胞診で前立腺癌疑い。前立腺切除手術後に病理検査と抗がん剤感受性検査を実施。

病理組織診断:
前立腺;前立腺癌

症例2組織写真

左:前立腺腫瘤の中拡大像(×100) 右:前立腺腫瘤の強拡大像(×400)

感受性検査結果:
作製したオルガノイドにおいては、ミトキサントロン、カルボプラチン、ビンブラスチン、ドキソルビシンの処置に対して40-60 %ほどの生存率の抑制が見られた。

症例2抗がん剤感受性結果1
症例2抗がん剤感受性結果2
症例2オルガノイド写真

培養後の細胞観察像: 多数のオルガノイド細胞の増殖

治療:
ビンブラスチン2.5mg/㎡を計6回投与

予後:
治療開始後3か月時点で再発や転移はなく、良好な状態を維持している。

症例3(犬、9歳、避妊メス)

病歴:
頻尿および間欠的な血尿のため近医を受診。膀胱三角部の腫瘤を認め、細胞診にて移行上皮癌を疑ったため二次診療施設に紹介。 ピロキシカム0.3mg/kg, SID投与開始。尿中のがん細胞を回収し、抗がん剤感受性検査を実施。

感受性検査結果:
ビンブラスチン、ミトキサントロンの感受性がかなり高く(IC50, 抑制率ともに良好)、カルボプラチンもこれまでの症例の中ではかなり反応が良い結果。 ピロキシカムとの併用効果はほとんど見られず。

症例3抗がん剤感受性結果
症例3オルガノイド写真

培養直後の細胞観察像: オルガノイド細胞の増殖

治療:
ミトキサントロンを4回投与

予後:
治療開始後2か月でほぼ消失した。

症例3予後写真

症例4(犬、13歳、去勢オス)

病歴:
肺癌治療経過中に膀胱内に腫瘤を発見、移行上皮癌と診断。ピロキシカムとミトキサントロンを3回投与するも、大きさは変化せず。尿中のがん細胞を回収し、抗がん剤感受性検査を実施。

感受性検査結果:
いずれのサンプルもミトキサントロン、ビンブラスチンの感受性は良好で、カルボプラチン処置も濃度依存的に増殖を抑制。

症例4抗がん剤感受性結果
症例4オルガノイド写真

培養直後の細胞観察像: 写真中央にオルガノイド細胞の増殖

治療:
ミトキサントロン4.5 mg/㎡を計7回投与

予後:
治療開始後3か月時点で進行は抑えられているが、やや排尿障害が発現。

症例5(犬、12歳、メス)

病歴:
血尿にて近医を受診。エコーにて膀胱内腫瘍を認め、細胞診にて移行上皮癌と診断された。 膀胱背側に2cmの有茎状腫瘤を認める。CT上では遠隔転移は認めず。投薬歴はなし。尿中のがん細胞を回収し、抗がん剤感受性検査を実施。

感受性検査結果:
ビンブラスチン、ミトキサントロンの感受性が少し悪く(IC50は少し高め、最大濃度での抑制は5割ほど)、カルボプラチンも反応が若干弱く、最大濃度の処置で6割弱の抑制効果。

症例5抗がん剤感受性結果
症例5オルガノイド写真

培養直後の細胞観察像: 小型のオルガノイド細胞の増殖

治療:
外科的切除を選択、術後にビンブラスチンを投与

予後:
治療開始後3か月時点で全身状態は良好。