抗がん剤感受性検査の利用例
症例18(犬、12歳、避妊メス)
病歴:
肺と気管支リンパ節のmassを摘出し、肺massの感受性検査を実施。他施設での組織検査では組織球肉腫と確認された。
感受性検査結果:
カルボプラチン処置に対して90%ほどの抑制効果が認められた。ダカルバジン、クロラムブシル、ロムスチン処置に対しても60-70%ほどの抑制効果が認められた。
その他の薬剤に対しては抵抗性を示す結果となった。
培養後の細胞観察像: 増殖細胞の存在を確認
治療:
放射線療法と併用してロムスチン(55 mg/ m2)投与を行った。
予後:
血小板減少が見られたものの、治療開始後4カ月現在の状態は安定している。
症例19(犬、5歳、避妊メス)
病歴:
他施設において骨肉腫とは組織像が異なる未分化肉腫と診断されたため左前肢の断脚を行い、弊社にて感受性検査を実施した。
感受性検査結果:
カルボプラチン、トセラニブ、ドセタキセル処置で85%ほどの抑制効果が認められ、ミトキサントロン、ドキソルビシン処置に対しても60-70 %ほどの抑制効果が認められた。プロプラノロール併用処置では単独処置と同程度の抑制効果が認められた。
その他の薬剤に対しては抵抗性を示す結果となった。
培養後の細胞観察像: 増殖細胞の存在を確認
治療:
術後化学療法としてカルボプラチン(200 mg/ m2)を投与を行った。
予後:
断脚後、4カ月で再発・転移はみられず状態は安定している。
症例20(犬、12歳、避妊メス)
病歴:
2年前に外科手術を行った乳腺癌の左腋窩リンパ節への転移が認められた。リンパ節全体が腫瘍で置換されていたため、外科切除を行い弊社にて感受性検査を実施した。
感受性検査結果:
ラパチニブ、エトポシド処置で40%弱の抑制効果が認められた。化学療法に対しては全体的に顕著な抵抗性を示す結果となった。
培養後の細胞観察像: オルガノイドの形成が観察された。
治療:
術後ラパチニブ投与(20 mg/kg/day)を行った。
予後:
術後4カ月の時点で再発や転移は認められていない。
症例21(犬、年齢不明、避妊メス)
病歴:
リンパ腫と診断され、UW25プロトコルを実施。寛解し経過観察を行っていたが、治療開始から1年後に多中心型リンパ腫(Bcell high grade)が再燃した。
体表リンパ節の腫大および脾腫がみられた。病変のうち、浅頚リンパ節を感受性検査に供した。
感受性検査結果:
シクロホスファミド処置で90%ほどの抑制効果が認められ、ドキソルビシン処置に対しても50%弱の抑制効果が認められた。その他の薬剤に対しては抵抗性を示す結果となった。
培養後の細胞観察像: 増殖細胞の存在を確認。
治療:
シクロホスファミド投与を行った。
予後:
3か月ほど状態が安定していたが、腎数値の悪化により投薬を中止。1ヶ月程度の休薬の後、L-アスパラギナーゼ投与に変更した。