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抗がん剤感受性検査の利用例

症例10(犬、11歳、避妊メス)

病歴:
肛門の腫瘤摘出時に肛門嚢アポクリン腺癌との診断。 超音波検査にて腰下リンパ節の腫大が認められたためトセラニブでの治療を開始したところ、 9か月目に内腸骨リンパ節、仙骨リンパ節など複数病変の拡大が認められたため、該当リンパ節の切除を実施。
その後、トセラニブ+シクロホスファミド、トセラニブ+カルボプラチン、ミトキサントロン、メルファランなど 複数回抗がん剤による治療を試みるも、再発を繰り返した。

感受性検査結果:
トセラニブ、ラパチニブ、ソラフェニブ、カルボプラチンの感受性がかなり高く、パクリタキセルについても高濃度での反応が認められた。
一方でメルファラン、ミトキサントロンに対しては抵抗性を示す結果となった。

症例10抗がん剤感受性結果1
症例10抗がん剤感受性結果2
症例10抗がん剤感受性結果3
症例10オルガノイド写真

培養直後の細胞観察像: 増殖スピードは他症例と比較してやや遅め

治療:
ソラフェニブ5mg/kg(BID)投与を行った。

予後:
4か月後現在、一般状態良好を維持している。

症例11(犬、年齢不明、オス)

病歴:
血尿を主訴に来院。細胞診と経過より膀胱移行上皮がんが疑われるため NSAIDs にて治療を行ってきたが、徐々に増大傾向が認められた。

感受性検査結果:
ミトキサントロンの感受性がかなり高く、ビンブラスチンに関しても良好な結果となった(IC50・抑制率ともに良好)。

症例11抗がん剤感受性結果1
症例11オルガノイド写真

培養後の細胞観察像: 増殖スピードは平均的

治療:
ビンブラスチン2mg/m2を2~3週間隔で実施。

予後:
血尿症状は改善が見られたものの投与量を上げることが難しく、膀胱三角部の病変消失には至らず尿管の不完全閉塞を引き起こしている。

症例12(犬、14歳、オス)

病歴:
頭部皮下に発生した腫瘤を切除したところ組織球性肉腫との診断。
その後、補助的化学療法としてニムスチンの投与を行ったが、やがて手術部位付近の皮下に腫瘤が認められ増大傾向にあったため、再発病変を改めて切除した。

感受性スクリーニング検査結果:
トセラニブへの感受性が高く、イマチニブ処置に対しても50%弱の抑制効果が認められたが、他の薬剤については抵抗性を示す結果となった。

症例12抗がん剤感受性結果
症例12オルガノイド写真

培養後の細胞観察像: 増殖スピードは平均的

治療:
病変切除後にリンパ節転移が認められ、トセラニブ2.5mg/kg(EOD)の投与を行った。

予後:
投与後3週間程度で縮小傾向が認められたが、消化器症状を呈するようになったためトセラニブを休薬。
その後、症状は改善し再発・遠隔転移所見は認められていない。

症例13(犬、10歳、避妊メス)

病歴:
数年前から左体側の腫瘤が大きくなり、FNAにて悪性線維性組織球腫の疑いとの診断を受けた。
減容積手術により摘出を行い、病理組織検査ならびに抗がん剤感受性スクリーニング検査に供出した。
腫瘤には第11~12肋間への浸潤が認められた。

病理組織診断:
多形肉腫(悪性線維性組織球腫を疑う)

症例13組織写真

左:短紡錘形の核を持つ腫瘍細胞が錯綜配列を示しながら増殖している。 右:組織球様の腫瘍細胞の疎な増殖が認められる。

感受性スクリーニング検査結果:
トセラニブ、イマチニブへの感受性が高く、クロラムブシル処置に対しても60%ほどの抑制効果が認められた。 その他の薬剤に対しては抵抗性を示す結果となった。

症例13抗がん剤感受性結果
症例13オルガノイド写真

培養後の細胞観察像: 一般的なスピードで細胞の増殖が認められた

治療:
イマチニブ8.5mg/kg

予後:
検査後約4ヶ月時点で一般状態は良好。腫瘍の再発はあるものの、当初の進行よりは、そのスピードは遅いように見える。 比較的安定した状態を維持しており、飼い主の満足度も高い。