抗がん剤感受性検査の利用例
症例46(犬、14歳、避妊メス)
病歴:
10か月前に多中心型リンパ腫を発症し、UW-25プロトコールで25週間治療を行った。
治療終了4か月後に食欲の低下を認め来院し、検査の結果脾臓への転移が確認されステージ4以上と診断された。
レスキュー療法選択の参考のために、抗がん剤感受性検査をおこなった。
感受性検査結果:
培養した細胞ではカルボプラチン、ロムスチンで90 %ほどの抑制効果が認められ、
ニムスチン、アクチノマイシンD処置に対しても84-88 %ほどの抑制効果が認められた。

治療と予後:
検査後にアクチノマイシンDの投与を3週間毎に行った。
症状は改善したが、消化器症状が強く出たことと、4回目の投与前に進行所見がみとめられたことから投与を中止した。
その後、Lアスパラキナーゼを投与後にカルボプラチンに切り替え、3回の投与を行った。
検査後、5ヶ月間は部分寛解で状態を維持出来ていた。
症例47(犬、7歳、去勢オス)
病歴:
右大腿皮下に腫瘤が発生し、針生検で非上皮系腫瘍と診断されたため、病変部を切除し、病理組織検査と抗がん剤感受性検査をおこなった。
病理組織診断:
犬の軟部組織肉腫の組織学的グレード評価におけるグレード III に分類される血管周皮腫と診断された。

感受性検査結果:
培養した細胞ではトセラニブ、ラパチニブで88-91 %ほどの抑制効果が認められ、ロムスチン処置に対しても72 %ほどの抑制効果が認められた。

治療:
検査後にパラディア3.7mg/kgの投薬を開始したが、食欲が廃絶したため 2.2mg/kg に減量し、3か月間投与した。
予後:
寛解状態を維持していたが、飼い主の希望により治療を中止した。投薬中の再発や転移は認められなかった。